映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」を見たのでレビューします。
ゾンビ映画の新たな試み
ゾンビ映画の第一人者として知られるジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』を現代版にリメイクした作品です。
本作はオリジナルのストーリーラインを活かしつつ、新たな要素として「走るゾンビ」が本格的に登場します。
それまでのゾンビと言えば、ノロノロと近づいてくるだけでしたが、本作における走るゾンビの恐ろしさはそれ以上の緊迫感を生み出しています。
主人公の看護師であるアナを演じるサラ・ポーリーやヴィング・レイムスを含めた実力派の役者たちが勢揃いとして、新たなゾンビ映画の幕開けとなりました。
“ショッピングモールを目指せ!”
【平穏な日常が瓦解する】
ある日の朝、起きたら隣人の子供に夫が首筋を噛みつかれて死亡したと思えば、人が変わったように立ち上がって主人公のアナを襲ってきます。
あまりの衝撃でアナは車で逃げ出しますが、町の様子をセリフなしで見せていくシーンはかなりのインパクトがありました。
もはや、誰がマトモで誰が襲って来るのか分からない状況の中、当てもなく車を走らせていくアナの表情には戸惑い、恐怖、そして悲しみと負の感情が渦巻いていました。
そんな時に出会う生存者とともにショッピングモールを目指していきます。
ここら辺はオリジナルと同じですが、やはり、リメイクという事で現代的なショッピングモールでの避難生活は外の危機的な状況とは隔絶した世界となっています。
その中で生存者たちが交流を持ち、それぞれの時間を過ごしていく中で、いつまでも平穏な時間が続くワケではありません。
そこで彼らは安全だと思われる孤島へ奪取する計画を立てますが、それこそが登場人物たちの命運を分ける事になります。
“結束する生存者たち!”
【生きる為の覚悟】
ショッピングモールを最初に支配していた警備員のCJが仲間になり、クルーザーが停泊している港まで行くべく、地下駐車場にあったバスを改造するシーンを含め、登場人物たちが結束していく流れはなかなか面白いです。
ショッピングモールを脱出するシーンでは、何人のゾンビに囲まれているのか分からないぐらい圧倒的な数に絶望感さえ持ちますが、登場人物たちは引き返す事のない決死の脱出は緊張感がありました。
次々と仲間が倒れていく中で、アナたちはなんとかクルーザーにたどり着きますが、そこには喜びはなく、どこか疲れ切ったような表情を浮かべる生存者たちの姿は印象的でした。