映画「ドクター・ストレンジ」をレビューします。
両手を失った男の必死さ
天才外科医であるスティーヴ・ストレンジは自動車事故で両手の機能を失います。
当初はなんとか治療できないかと奔走するが、結局は決定的な治し方がなく自暴自棄になってしまいます。
そんな時、スティーヴは下半身不随の男が歩けるようなった事を知り、彼が治療を行ったカトマンズに出向きます。
そこで魔術が存在する事を知ったスティーヴは、再び両手を取り戻す為に過酷な修行に身を投じていきます。
マーベル・シネマティック・ユニバースでは様々な役者が起用されてきましたが、ロバート・ダウニー・Jr.に続いてアクション映画とは無縁の名優であるベネディクト・カンバーバッチがスティーヴ・ストレンジを演じています。
やはり、トニー・スタークと共通する部分が多いのですが、ベネディクト・カンバーバッチは更にイギリス俳優独特の紳士的で品位が高い雰囲気を出しています。
そんな男がボロボロになりながらも必死に両手を取り戻そうとする姿は、どこか痛々しかったのですが、逆にそこまでして治したいという感情が伝わってきました。
“映像は魔術を表現する!”
【新たなる世界を提示】
この作品における位置づけは単体としての映画よりも、マーベル・シネマティック・ユニバース全体に影響する大きな役割を持っています。
これまでマーベル・シネマティック・ユニバースでは同一の世界を舞台にしていましたが、本作によって別の世界がある事を示唆しています。
ドクター・ストレンジの誕生とともに、新たなる可能性を見せる意味でもあります。
とにかく、本作ではドクター・ストレンジの力よりも、彼がこれから関わろうする別次元の世界を体感する作品となっていました。
目が回るような世界が登場し、その仕掛けは目を疑ってしまうほど精巧であり、尚かつ魅力的な映像となっています。
魔術の不思議な力を映像に表現した点では本作は非常に重要な作品だと分かります。
“地球を監視する魔術師!”
【世界を繋げる役割】

Marvel’s DOCTOR STRANGE..Doctor Stephen Strange (Benedict Cumberbatch)..Photo Credit: Film Frame ..©2016 Marvel. All Rights Reserved.
スティーヴは誰よりも真面目に修行をこなし、瞬く間に魔術を体得していきます。
その過程でスティーヴが知識への欲望を危惧するライバルとの争い、危険な思想を持つ師の元弟子との戦いでドクター・ストレンジとして地球を守る事になります。
世界一の魔術師となるドクター・ストレンジですが、やはり、他のスーパーヒーローを導く役割として、その圧倒的な存在を魅せてくれました。